オーストラリア、アデレードのクラス替えの仕組み【Complete a Placement Proforma】

スクールバス子供の教育
Michael BußmannによるPixabayからの画像


アデレードもやっと春らしい季節が続くようになってきました。


現地小学校では3学期もあと残り2週間弱となり、先週の終わりには来年のクラス替えに関するお手紙が届きました。


アデレードの小学校では、クラス替えは毎年行われます。


今日はこのクラス替えの仕組みについてお伝えします♪

保護者の希望を提出するシステム

毎年3学期の終わりになると学校から来年のクラス替えに関するお手紙が届きます。


そのお手紙には提出書類が添付されていて、この提出書類は【placement proforma:クラス替え見積り(書)】と呼ばれています。

placement の意味

名詞:配置、選定

複数形:placements

proforma の意味

形容詞:形式上の、見積もりの

名詞:(例として作られる仮の)特定の書類


ちなみに、提出書類のヘッディングには【Parent input into class placement:クラス替えに対する保護者のご意見】と書いてあります。

【Placement Proforma】: クラス替えの見積り(書)

Staff members are about to begin the class placement process for next year and if you have information you believe should be considered when placing your child in his or her new class, we encourage you to complete a placement proforma.

Government of South Australia, Department for Education


これは冒頭の一文です。簡単に訳すとこんな感じです。

学校職員はそろそろ来年のクラス替え準備を始めるところです。お子様のクラス替えにあたって、考慮されるべきと思う事項がございましたら、【クラス替え見積り】の書類を記入提出されることをお勧め致します。


つまり、保護者はクラス替えについての希望を書いて、学校に提出することができるのです!!


ただし、この提出書類の名前の通りにそれは、あくまで【見積り】でしかありません。


希望を書くことはできますが、それはあくまで希望です。必ず叶えることができるわけではありません。


その旨はしっかり手紙にも書かれています。

Please note that whilst parent requests will be considered there is no guarantee they will be able to be accommodated.

Government of South Australia, Department for Education

ご両親のご希望は考慮される一方で、それらが実現することを確約するものではないことをご了承ください。


また、【placement proforma】はクラス替えに希望がある保護者が提出するもので、特に何も希望がなければ、提出しなくてもOKな書類です。

Placement Criteria: クラス替えの基準


クラス替えの基準も保護者に公表されていて、その透明度は高いです。
以下の項目がそれにあたります。

  1. Gender balance and size of classes
  2. Learning needs of students
  3. Social and emotional levels of development of individual students including friend ship groups
  4. Balance of students with special needs
  5. Relevant parent input
  1. 性別のバランスとクラスのサイズ
  2. 生徒の学習ニーズ(どんなレベルの学習を必要としているか)
  3. それぞれの社交性や感情の成長度合いやその友達グループ
  4. 特別なケアが必要な生徒数のバランス
  5. 両親からの関連情報


1番はそのままですが、クラス全体の人数とその中での男女の比率を基準に決めるということです。


2番においては学習が進んでいる子、普通の子、遅れている子、それぞれにどんな学習サポートが必要とされているかに基づいて決めます。


3番は精神面での成長具合やそれぞれの友達グループを基準にします。つまり、学校側が仲良しグループをなるべく引き離さないように考慮してくれることも時にはあるということです。


4番は様々な理由で特別なケアが必要な子供が、それぞれのクラスに均等に割り振られることを基準にすることを意味します。


そして、5番は【placement proforma】を考慮に入れることを明記しています。

【placement proforma】の記入項目


今年受け取った【placement proforma】に記入する項目は5項目でした。

  1. 来年の転校予定: あれば転校先の学校名など書く
  2. 子供の秀でている事: 算数、理科などあれば書く
  3. 学習に影響する学習ニーズ: 何か特別にサポートして欲しいようなことがあれば書く
  4. 学習に影響する健康問題: 心配なことがあれば書く
  5. 学習に影響する社交的&感情的なニーズ: ここで友人関係のニーズを書く


1番はそのままです。こちらでは希望してテストや面接などを受けて受け入れてもらえれば、学区外の学校に通うことも可能です。なので、小学校卒業前に他の学校に転校する子供も結構います。


2番は得意科目などを書いておくと、それを基準にその分野を伸ばせるようなクラス編成を考えてくれると言うことでしょう。


3番は学習の遅れでサポートが必要な場合だけでなく、その他様々な学習ニーズを記入できると思います。


例えば、同学年よりも学力がある場合に上の学年とのミックスクラスを希望することもここに明記できると思います。


4番目は健康面で心配事があれば記入できます。


5番目は友達関係に関わる項目で、ここで友達の誰と一緒のクラスがいいかとか、この子供とだけは同じクラスにしないで欲しいとか、単刀直入に書けます。


前年度まではその理由を書く欄があったと思うのですが、今年はその欄がなく、理由を書く必要も特になくなりました。恐らくプライバシー保護的な理由からこの形になったのだと思います。


5番目に関しては同じクラスになりたいもしくはなりたくない、どちらの希望であっても相手の名前は1~2名位までと言われています。


これは当然と言えば当然ですね。何人もの名前を書いてもその通りにクラス替えできるわけがありません。1人くらいなら希望を叶えられるかもよ?っていうことだと思います。


そしてもちろん、この【placement proforma】を提出しても、記入した希望通りのクラス替えにはならないことも実際に多々あります。


そんな時は皆さん、「なんのための【placement proforma】なのかしら?」とか言っていますが、まぁ、こればっかりは仕方ないですよね。


個人的には新しい出会いがある! と前向きに受け入れた方がいいと思います。

どうしても受け入れられない結果だった場合


クラス替えのプロセスは前年度の3学期末にこの手紙と提出書類が保護者に配られることから始まります。


その後4学期の第1週目の金曜日が【placement proforma】の提出期限になり、締め切り後の第2週~7週までの間で、様々な情報を元に職員総出のクラス替え選考が行われます。


4学期の終わりになると翌年の各クラスと各担任も決まり、4学期最後の週には翌年の新しいクラスでの顔合わせがあります。


この日にどんなクラスになったのか、ほとんどの親は帰宅した子供に聞いていると思います。


そこで何か問題があった場合、もしくはどうしても受け入れられないクラスだった場合、なるべく早くに校長先生か教頭先生に相談に行けば、その理由が正当なものであった場合、希望するクラスに変更してもらうことも可能です。


ちなみに、当然のことですが、先生を選ぶような希望は出せません。

子供達の希望


学校では子供達もクラス替えについて自分の希望を書いて先生に提出しているそうです。


親が提出する【placement proforma】ほど効力はないのかもしれませんが、それでも子供達にとって「自分の希望を学校に伝えることができる」というのは、嬉しいことだと思います。


【placement proforma】の提出はしてもしなくてもどちらでも良いので、毎年必ず提出する保護者もいれば、必要な時だけ提出する保護者や全然提出しない保護者もいます。


子供の希望提出と親の【placement proforma】によって、親友同士が小学校卒業までずっと一緒ということはあり得ます。


実際に息子のお友達2人がレセプション(日本の年長さん)から6年生までの7年間ずっと同じクラスだったりしています。


新しい出会いの面で考えると、少しもったいない気もしますが、中学高校になり離れ離れになる時はいずれやってくるのだし、小学校の間ずっと同じクラスでかけがえのない幼馴染ができるのも悪くないかもしれません。


うちの息子は何年か親友たちと違うクラスになったりして、最初のうちはクラスが違うことに落胆していましたが、その間に新しい友達ができてとても良い結果になりました。


親友たちとは今ではまた同じクラスになり、お互いに新しい友達を紹介し合って、友達の輪が広がりました。

おわりに


日本では希望を先生や校長先生に伝えることはできるそうですが、このように公に提出書類が配られているわけではないので、現実的には希望を伝えにくい環境にあると思います。


クラス替えについて親の希望なんて伝えても、きっと聞き入れてもらえないだろうし、「わがまま」「身勝手」「モンスターペアレント」なんて思われたら嫌だな、などといろいろ考えすぎて躊躇してしまいそうです。


ですが、学校側が知り得ない情報というのは確かに存在します。子供本人や保護者だけが知り得ている情報やそれゆえの事情があったりします。


そんな時にこのように希望を提出する機会が毎年あれば、同じクラスにしないで欲しい人や同じクラスにして欲しい人をシンプルに記入することができます。


今年の【placement proforma】には、その理由を書く欄が無くなっていたので、わざわざお互いのプライバシーを侵害するような情報や事情を伝える必要もありません。


今後は日本でもクラス替えについて子供達の希望や、親の希望を学校側に伝える機会を設けるべきなのではないでしょうか?


毎年その機会があるというだけで、子供も大人も次の年に新しいスタートを切るために【placement proforma】を提出して、前向きな行動が起こせるのです。

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